AI活用の今に触れた ABEJA SIX2018

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もう先週になりますが、2月22日(木)開催の ABEJA SIX2018 に参加したレポートです。

ABEJA SIX2018
https://six.abejainc.com/

今回参加した ABEJA SIX2018 は AIのみのイベントですが、1000人の枠に3000人の応募があるなど、この分野の注目の高さを表していました。高知の田舎もんが折角このような貴重なイベントに参加する機会をいただきましたので、備忘録も兼ねて、基調講演、その他4つのセッション、Ask the Expert の感想をまとめてみました。(写真は関係者以外撮影禁止でしたので Abeja の @hide69oz さんのツイートを活用させていただきました。

基調講演「SIX 〜革新的AIの連鎖がはじまる日〜」

ABEJAさん自身のこととしては、新しいブランドロゴのほか「ABEJA Platform」「ABEJA Insight」などの正式版の提供開始の話題もありましたが、それよりも多くの時間を割いてデープラーニング(AI)とその活用に関する話題を提供されていました。

(参考)ディープラーニング(Deep Learning)とは?【入門編】
http://leapmind.io/blog/2017/06/16/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0%EF%BC%88deep-learning%EF%BC%89%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F%E3%80%90%E5%85%A5%E9%96%80%E7%B7%A8%E3%80%91/

ディープラーニングによるイノベーションがたらすものとして
1. 自動化による事業拡大
2. 熟練者のノウハウを習熟
3. 過疎地域の課題解決
を紹介。
1. 2. はAIでよく聞く話題ですが、3. つ目に「過疎地域の課題解決」が挙げられているのは珍しいと思います。確かに、省力化して単純作業にかかる負荷を下げてゆけないと、生活を保つことすらきびしいような地域を守るため、AI活用は必然と感じています。一方、私の住む最先端過疎地を抱える高知の現実は、AI活用以前にIoTによるデータ収集と活用すら満足にできてない2週遅れの状態(今ごろやっとIoT技術者育成を言い始めた段階)で、今後どうAIを活用してゆくのか頭を抱えてしまう状況でもあり、色々考えさせられました。

AIを活用するためには「やりたいことの確定」
事例で登壇された 武蔵精密工業 さん、「中身は知らないけど、やりたいことははっきりしている」と言われていました。やりたいことがはっきりしているから、まだ思考錯誤が多い早い段階からAI活用の挑戦(投資)が行えたのではと推察します。やりたいこと、そしてそれが実現した場合の効果をしっかり捉えていた結果、AIの実用化に早くから取り組みアドバンテージをもららしている例だと思います。

パートナーエコシステム
そもそもAIに関する技術者・経験者などのノウハウのある人が少ない、そんな状態をABEJAさんはお客様がパートナーになっていく流れ(パートナーエコシステム)でカバーすることを考えているようです。ABEJAのようなアノテーションツールが充実しているプラットホームでデープラーニングを活用するのは、経験のある利用者が最適なのかもしれません。言い換えればAIのプラットホームを構築するスキルのないIT屋はこの分野では不用になるのかもしれません。

(参考)エコシステム
https://kotobank.jp/word/%E3%82%A8%E3%82%B3%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0-185508

(参考)アノーテーション
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

AI活用で時間は1/3、コストは1/20
LIXILの安井さんが、Abeja Platform で時間は1/3、コストは1/20になるとのこと。キッチンの行動観察分析が、3ヶ月から3日になった事例を紹介されていました。AIが圧倒的なパフォーマンスを発揮した一例ですね。以下のツイッター投稿でスライド写真を参照できます。

商用施設1棟まるごとAIで分析
上野 PARCO_ya は全館でABEJA 小売業向け店舗分析ツールを導入済み。全ショップの 顧客の属性を取得し、テナントに提供しているとのことです。こちらは現地で確認してきましたので、この記事の最後をご参照ください。

その他、Abeja Platform に関する情報も紹介されましたが、内容は以下のツイッター投稿のスライド写真を参照ください。


製造業 事例紹介「人工知能の眼」による検品自動化。次世代の製造現場とは

武蔵精密工業株式会社さんの経営理念はアジャイルに通じるものがあるとのこと。たぶん、やりたいことを明確にし、現場手動で迅速に、やれることから進めるような企業体質があるという表現で使われたのだと思いますが、このような企業風土が他より早くAIを活用するきっかけになったようです。

AIは主に工場の製造部品の検査に活用され、スライドで紹介していた内容から推測するのに、大量に精算される形状が決まった部品をカメラで撮影、その画像から異常検知を行っている様子でした。検査機器も自ら製作し、撮影用のカメラなども自ら調整しているようで、システム導入にも障壁がなさそうで、まさにAIを活用する環境が整っていたのでしょう。

(参考)工場検品、深層学習の威力 AI開発のアベジャ(日本経済新聞 電子版)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27016430W8A210C1XY0000/

このセッションではないですが、武蔵精密工業 大塚社長さんは基調講演でも登壇され、AIの活用で「現場を楽にしたい」というシンプルでわかり易い話をされたのが印象的でした。

伝統 / 食料品・飲料 事例紹介「人工知能の眼」が伝統の技の継承をサポートする

ついAI活用の現場から遠い場所のように誤解してしまう日本酒の蔵元。そんな蔵元の一つである南部美人さんが、酒造り工程でのAI活用に取組む話でした。

南部美人
https://www.nanbubijin.co.jp/

日本酒の製造では「浸漬(しんせき)」という洗米した米を水に浸ける工程があるそうです。その工程はほぼ人の目に頼る仕事で。その匠の目を「AIの眼」で置き換える挑戦のようでした。具体的には、AIを使ってお米の膨張率など数値化・可視化・再現性をデータ化し、最適な「浸漬」を実現し米割れなどによるロスを防ぐための試みです。現状では「浸漬」を撮影するカメラ装置も自作しているようです。

(参考)から酒へ、原料米の精米、洗米、浸漬、蒸米 そして麹づくり、仕込み工程へ
http://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/sake/brewing/brewing02.html

まだまだ試行錯誤があるようで、AIの眼は匠の域までには達してないようですが、「AIは今は必要なくても熟練者がいなくなるこれから先への投資」と位置づけ、危機感を持ちつつ先への世代へ匠の技を伝承する手段として今後も挑戦し続けるようです。熱く語っていた部美人の代目蔵元 久慈さんが大変印象的で、地域でのAI活用には伝統を守るための今回のような取組みの成功が必要だと痛感しました。

流通・小売 事例紹介 人工知能時代、商業施設の必勝法

基調講演の部分でも少し触れたパルコさん、トヨタオートモールクリエイトさんを迎えて、
モデレータをStill Day One 合同会社(Abeja) の 小島 @hide69oz さんが努め、それぞれのAI活用についての話題を掘り起こしていました。

パルコさんは、基調講演の部分でも述べた 上野 PARCO_ya での商用施設1棟まるごとAIで分析の事例がインパクトが強ぎて、翌日実際に 上野 PARCO_ya まで足を延ばす結果となりました。(現地で確認してきましたので、この記事の最後をご参照ください。)

そういえば、小島 @hide69oz さんが突然2月10日前後に AmazonGo に行かれていましたが、このモデレータの下準備のために行かれてたとは、流石です。

(参考)Amazon Goは「無人コンビニ」か?
http://stilldayone.hatenablog.jp/entry/Go_AmazonGo

(参考)AmazonGOを丸裸にしてきた
https://blog.r3it.com/20180226-amazon-go-e1d186010cae

パルコさんの話で、顧客の属性よりも行動を把握して声を掛けても良いいお客さんを把握するようなアプローチは、AmazonGo のような無人とは別のアプローチで面白く感じました。目指すところは違うかもしれませんが、パルコさんには AmazonGo に匹敵するようなAI活用を期待しています。

(参考)パルコ/来店者数・年齢・性別の解析サービスをパルコヤに導入(流通ニュース)
https://www.ryutsuu.biz/it/j103135.html

(参考)「ABEJA Platform for Retail」をパルコの新店舗「PARCO_ya」へ提供 〜 初となる大型商業施設への導入でテナント毎のリアルデータを分析・活用 〜
https://abejainc.com/ja/news/article/20171020-1687

特別講演 人工知能をビジネスに実装するとき、今やるべきこと

AIの概要を知るうえで私が一番参考になった著書「人工知能は人間を超えるか」を書かれた、東京大学大学院松尾先生のセッションでした。

人工知能は人間を超えるか
https://www.amazon.co.jp/dp/B00UAAK07S/

確か著書でも述べられていたのですが、機械学習とデープラーニングの区別ができてないための問題を指摘されていました。これ、私も松尾先生の著書他を読むまでは全く理解できてなかった部分で、こと時は広義に述べたと思いますが、狭義な違いは説明用の自己メモも兼ねて以下に参照先を記載しました。

(参考)「機械学習」と「ディープラーニング」は何が違うのか?
https://innovation.mufg.jp/detail/id=93 

確か現在のデープラーニングの実力を「眼のある機械」「3歳の子どもの画像認識」のような表現でしめされたのはわかり易い表現でした。過度な期待感が強く、小学生以上の能力のつもりで複合的にAI活用のアプローチをしてもまだ無理で、現状では3歳の子どもの眼を意識して、1つのことに絞るようなシンプルなアプローチが必要なのかもしれません。

とはいえ、言い換えれば3歳の眼はAIで実現できている訳で、松尾先生が例として挙げられていましたが、今ならトマトの収穫ロボットは難しくないようですね。農業の工程を分解すると収穫のような人手のかかる作業も多く、技術的制約、単一作業という面ではAI活用には適した業種のようです。ですが、肝心なマーケットの部分ではIoT方面でも厳しいレポートが出されいて、日本で先行してAIを活用して自動化できる分野となるのは微妙なところかもしれません。

(参考)IoTでズバリ「伸びる業界」8つと「伸び悩む業界」4つを公開
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54231?page=2

 

最後に

今回の ABEJA SIX 2018 は、すでに参加者がブロッグなどにまとめたと思いきや、まだ検索でほとんどヒットしないですね。マスメディア以外の情報が少ないのが残念です。以下、関連するツイッターとブロッグの情報です。

togtter ABEJA SIX 2018
https://togetter.com/li/1202059

AIの未来は人間の最高の相棒
https://blog.r3it.com/abeja-six-2018-3c0a6a3900a5

ABEJA SIX 2018 の関係者の皆さん、貴重な機会をいただきありがとうございました!

 

(番外編)AI活用の現場 上野 PARUCO_ya に行ってみた

翌日帰るまでに時間があったので、ABEJA SIX2018 で話題になっていた AI活用の現場 上野 PARUCO_ya に行ってみました。

上野 PARUCO_ya
http://parcoya-ueno.parco.jp/

FLOOR GUIDE /フロアガイド
http://parcoya-ueno.parco.jp/pc/floor/

IMG_7514

上野 PARUCO_ya は東京に慣れない私でもわかりやすい、JR御徒町駅からすぐの場所でした。松坂屋と隣接し、TOHO CINEMAS もあるんですね。

IMG_7496

入り口が思ったより小さかったのですが、上の写真でも確認できるように、入り口すぐの場所にカメラが設置されています。エントランスは顧客分析において重要な場所であることは説明するまでもないことですよね。

入店して困たのが撮影可否の確認。入口エントランスや5階のインフォメーションを訪ねたのですが、明確な答えをいただけませんでした。とはいえ、最終的には5階スタッフの方に丁寧に対応いただき「店舗の方の許可が得られれば良いかな?」という話ができて、控えめながら撮影ができて助かりました。こういう問合せも今 PARCO さんが開発している Amazon Echo のスキルで Alexa が答えるようになるのかな?

(参考)パルコ、商業施設でのご案内に特化したAlexaスキルを新規開発
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000651.000003639.html

早速、5階のインフォメーション側の店舗 Zoff さんに許可をもらって撮影したのが以下の写真です。Zoff の店長さんの神対応で、ちょうどお客様が引けた時になるべくお店のスタッフも映らないような状態で撮影できました。AIの情報を活用する PARUCO_ya 内の店長さんですので、プライバシーや肖像権については学ばれてたのかもしれないですね。

IMG_7508

上の Zoff さんの店舗のちょうど中央から少し左上に、例のAI分析用と思われるカメラが見えます。以下は別の場所ですが、カメラ部分を拡大するとこんな感じです。

パルコ屋

狭めの店舗にこのようなカメラ1台、広い店舗は2台配置されました。一部飲食店は覗けなかったのですが、このカメラがほとんどの店舗にくまなく配置されていました。
カメラは中央・端など、各店舗がおおよそ見通せるほとんど死角がなさそうな場所の天井に設置されている感じでした。

IMG_7511

上の写真のように、通路、エスカレータの踊り場などもカメラが配置され、全館の映像をAIでくまなく分析できる環境を整えているようです。

無論カメラの機種などは不明ですが、類似すると思われる製品でスペックなどを推測するためにネットワークカメラの販売台数が多い Panasonic の製品を参照してみました。

(参考)Panasonic ネットワークカメラ BB-SC364
https://sol.panasonic.biz/security/netwkcam/lineup/sc364.html

この Panasonic の製品の例だと、水平95度、垂直70度(フルサイズ一眼レフ 20mm相当)のカバーができます。予想以上に広い範囲をカバーできるものですね。

撮影NGのスタバ(なので写真なし)に設置されていたカメラの画角を照らし合わせると、一部の死角を除きおおよその範囲をカバーできることがわかります。さらに図の下部の点線で区切った通路側にもカメラがありましたので、店舗内の死角はそちらでもカバー可能でしょう。

以下、PARUCO_ya スタバの店舗略図
スタバ

このカメラで全館の映像データを蓄積できますので、この映像をAIで行動分析した結果、例えばパルコさんが狙っているであろう「声をお掛して商品をお勧めしたら購入する可能性の高い顧客」を即座に分析できるようなモデルを作成して、少ない人数で効率的な接客を実現できるかもしれないですね。今後発表される活用事例などが気になるところです。

最後に余談ですが、無精髭を生やしたジーパン姿の中年が、全店舗の天井を眺めてうろうろする姿はさぞ怪しかったことでしょう。AIに不審者として扱われて、警備員につかまらなくて良かった、、、というのは冗談ですが、そんな日は近いんでしょうね。
そんな怪しい私の申し出に神対応いただいた Zoff の店長さん、ありがとうございました!

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